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ラオスの織り
Weaving

伝統の織り "シン"は、数千年前より東南アジア地域で着用されている民族衣装です。 デザインや着用の仕方は国により少しづつ異なりますが、ラオスでは幅90センチ前後、長さ150〜180cmくらいの布の上下を輪に縫い合わせて 横広の長方形の筒状のものにし、横幅の余った部分を左右のどちらか好みの脇から内側に折り返して中に挟み込むか、 ウエストをベルトで留めて着用するシンプルなスカートです。
丈を短めに織り上げて、裾に別織りの布の「ティンシン」(シンの足の意)を飾りとして縫い付けるデザインもあります。 また「ティンシン」は、普段綿の別布を付け、行事の時に絹などで織った豪華な模様のものに付け直して着用したりもします。
機織の横幅は90cmくらいまでが一般的ですので、シンに仕立てた際の緯(よこ)糸が織りの経(たて)糸となります。そのため場合によっては模様が90度回転して現れます。
今世紀中頃から、スカートのようにダーツを入れるようになり、着る人本人の体形に合わせて、より着心地の良いものに仕立てるようになったのですが、 一枚の"シン"を家宝として家族で着回したり、代々譲っていくことがむずかしくなりました。

織り風景 統工芸の一つである織物を守るため、職場や学校ではシンの着用が推奨されており、 多くの女性は子供から大人までシンを着用しています。素材を変えて、普段着から通学服、正装にも同じデザインで作るのが特長です。 正式にはシルバーで作られたベルトと「パービヤン」というショールを肩から胸を覆うように斜めに巻くのが正装です。
男性は、フランス統治下時代から、特別な行事などがない限り、民族衣装は着用しなくなっています。
どこの国でも民族衣装の華やかなのは女性の方でしょうか。

"シン"やパービヤンは、伝統的な手織りで作られ、模様に祈りを込めて織り上げていきます。 その織り技巧は大変複雑ですが、少女の時から母から教え込まれ体で覚えていくため、パターンを使用せずとも模様を表現することができるのです。


織り技法

下記の技法の1つまたは数種を組み合わせて布を織り上げていきます。
紋織りまたは浮き織り
ラオスの代表的な織り技法で、地を形成する経緯糸に別の糸を追加して模様を表現する方法。別糸が布の表面で浮いたようになるので、一般に浮き織りと呼んでいます。
  • 緯紋織り(ぬきもんおり):横幅いっぱいに別糸を入れる
  • 縫取織り(ぬいとりおり):横幅の一部分のみに入れる
  • 経紋織り(たてもんおり):経糸に別糸を追加する
縫取織り 縫取織り / Supplementary weft (Discontinuous)

別糸を横幅の一部に加えて浮き織りにしてあるもの
緯紋織り 緯紋織り / Supplementary weft (Continuous)

別糸を横幅いっぱいに加えて、一列の模様全部を一色で浮き織りにしてあるもの
経紋織り 経紋織り / Supplementary warp

経糸に別糸を加えて浮き織りにしてあるもの
イカットまたはマットミー/絣
模様を想定して糸をビニール紐などで縛り防染してから染めて織る技法です。
複数色を使用する場合その数だけ結ぶ〜染める〜ほどくの作業を繰り返すため、準備期間のほうが織りよりもかかる場合があります。 また、織る際も模様がずれないように気を配る必要があり根気が要る織りです。
この方法には以下の3種類の方法がある。
  • 緯絣(よこがすり/ぬきがすり):緯(よこ)糸を染めて模様を表現
  • 経絣(たてがすり):経(たて)糸を染める模様を表現
  • 経緯絣(たてよこがすり):経緯両方を染めて模様を表現。経緯糸の交差する点を正確に合わせて模様を表現するため、これが一番技術を要します。
綴(つづれ)織り
つづれ織り

緯糸を端から端まで通さずに、つづらのように蛇行させながら模様を織る。タペストリー織りともいう。
平織り
平織り
すべての織りの基本。通常平織りだけで織り上げることはあまりなく、必ず上記のいずれかの技法の合間に入れる。


用いられる布の違いによる、主なシンの呼び方

  • シンミー(Sin Mee) -- 絹で織られた布で作られたシン
  • シンチョック(Sin Chok) -- 浮き織りで織られた布で作られた
  • シンムック(Sin Muk) -- 経紋織りで織られた布で作られた
  • ティン(Teen) -- シンの裾部分に付ける幅10cmから30cm位の別布
ラオスの織りに関しては、あまり資料も残されておらず、歴史や文学の中で王族の衣装の織りのモチーフや、色の描写があるのみで、 一般の衣服や染めや織りに関しては残されていないのが現状です。 ですから、いつから織り物が始まったか、モチーフの由来、染めの方法などは、隣国からの情報や、それぞれの民族の間で伝承されているものからに限られます。
織りは、中国南部から移住してきたラオタイ族が持っていた技術で、中国の資料の中には、その先祖がまだ中国南部にいた紀元前1000年程も前から、 すばらしい技術を持っていたことが記されています。

織りのモチーフ

  • 自然からの物 -- 木、花、葉、果物、山、雲、水路、稲妻
  • 動物 -- 鳥、孔雀、蝶、鹿、カタツムリ、ライオン、竜、馬、ガチョウ
  • 建造物 -- 寺、宮殿
  • 神話上の動物 -- ナガ(川の神)、シホまたはコサシン(長鼻ライオン)、ナック(龍神)
  • その他 -- バーシ(儀式の時に使う飾り)、釣り針、鍵、アルファベットのS、迷路、ダブル渦巻き、星、ダイアモンド(ひし形)
ナックやナガ、象の鼻を持つライオンのシホ 地域により、織りに使うモチーフは異なります。
北東部のフアパン県やシェンクアンなどでは、神話などに登場するナークなどのが多く見うけられますが、 ルアンプラバーンではかつての王都だったなごりから、王族のみが使うことを許されていた金や銀の糸を使った豪華な織りが多く見受けられます。
南部では、クメールの影響を受けた神殿の図柄のイカットや、腰機を用いた独特のストライプ模様などが見受けられます。
本来布は個人で使うものに願いを込めて織られるため、モチーフには特別な意味があり、厄除けや子宝、先祖を敬う気持ちなどを織り込んでいきます。


織りと暮らし

織りをする少女 少女たちは、6・7歳になると織りを始めます。始めは「ティンシン」と呼ばれるシンの裾部分につける、 簡単な模様のものから、頭にかぶるヘッドショールなどを織ります。 良い織り手は結婚を申し込まれる、という古くからの言い伝えを信じてがんばるのです。
織り子が見初められると、若者の家の年長者が両親にその織り子を褒め称え、求愛を伝えます。 双方の両親・親戚に認められると、女性側の両親は、新居で使うマットレス・枕・毛布・ショール・虫除けネット・シーツやカーテンなどの 織物を、結納の品として新郎側に提供します。その品目の数と織りの質が花嫁の価値となり、花婿のステータスでもあるのです。

このような求愛の風習は、30年ほど前でも見受けられました。 たとえば、シエンクワン県のプアン族の女性は、求愛の表現に赤い手織りのバッグを男性に渡します。 もし、男性も同じ気持ちなら、そのバッグにいっぱいプレゼントを入れて返します。 結婚の意思を表す場合、女性が返ってきたバッグに蒸し鳥を入れて男性に渡すことで、表します。 男性側の両親が、そのバッグの織りの質や鶏の太り具合に満足すると、結婚式が行われます。



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参照・情報提供:
Infinite Designs The Art of Silk by Lao Women's Union
Lao Textiles and Traditions by Mary. F. Connors
Thai Textiles by Susan Conway
ミアザ内ラオス染色研究会
守谷市国際協会:写真提供


サバイディー!ラオスおすすめアマゾンco.jpで購入できる本

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Lao Textiles and Traditions by Mary F. Connors(英語)
ラオスの織物や伝統に関して紹介している数少ない本の一冊。
写真はそれほど多くはないですが、染めの方法や織りの使い方などが紹介されています。
このサイトでも、いくつかの画像を載せています。現在ユーズドでプレミア価格となっていますが、日本のアマゾンで購入可能です。 同じくユーズドですがイギリスのアマゾン、 またはアメリカのアマゾンにて購入可能です。


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Thai Textiles by Susan Conway (英語)
タイで織物の盛んな、イサーンや東北地域は昔はラオスだったので、この本にはラオスでも見られる織物がたくさん紹介されています。
アジアの織物の研究は、多くの移民を受け入れていたせいか、早くから欧米が盛んに行っていましたので、外国の書物の方が、 内容的に詳しいものが多くなります。
これも英語ですが、写真がきれいなので眺めているだけでも、楽しくなります。
現在日本のアマゾンではユーズドしか取り扱いがなく、また割高です。品薄ですがイギリスのアマゾンにて購入可能です。


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世界織物文化図鑑―生活を彩る素材と民族の知恵
世界中のあらゆる布地に目をむけ、自然の動植物から得た材料を、個性豊かな装飾具や生活用具に仕上げる手法を紹介。多数の写真や挿し絵と共に民族の知恵と技術の全てを解明。
ほんとうに世界中の布を取り上げており、その織り方まで図解してあります。とても高価な本ですがその価値はあります。英語のペーパーバック板でしたら品薄ですがアメリカのアマゾンで1/5の値段で購入可能です。







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